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脳転移

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骨肉腫からの肺転移、そして、それが、脳まで広がりました。

10歳の女の子です。


もう、治療の手立てはなく、palliative careという、できるだけ、痛みを少なく、COMFORT(快適に過ごせること)を、目標に、最期を見送っていくケアに切り替わってから、数日が立っています。


脳転移のケースを見るのは、私は始めて。

その頭痛、というのは、とても想像がつかないもの、だそうです。


常に、そこにある頭痛。

いろんな麻薬を使っても、完全にとりさることができない頭痛。

最後の手段としては、ずーっと、眠らせてしまう、というのが、ひとつですが、

まだ、彼女は、意識もしっかりしていて、本人が眠りたくない、眠らされたくない、といっている。


いろんな薬の投薬方、量をアレンジして、なんとか、彼女の頭痛を減らそう、と、するわけです。


その「痛みのコントロール」の主役が、APS(Acute pain service)と呼ばれる人たちで、

普段は、麻酔の専門家ですが、ペインコントロールもしています。



頭痛がコントロールできなくなってきた日曜日。

彼らを呼びました。


普段は、とても真摯で人間的な人たちが多い、APSティーム。


それが、今回はどうしたことか、とんでもない研修医が来ました。


彼女を診察しながら、

「頭痛なら、タイルノル(日本で言うバファリン)を、あげればいいなじゃいの」

彼女も、彼女の両親も、私も、びっくり。

「彼女はいま、何種類もの麻薬を試している段階ですよ。本当にタイルノルにもどりたいんですか??」

と、いう私の質問に、

「でも、いま、タイルノルのんでないんでしょ?じゃあ、それあげてみて」

それを聞いた両親は、

「私の娘の頭の状態をわかってますか???」

と、その研修医に思わず言ってしまいました。

「ああ、カルテを見たから知っています。タイルノル、試したいの?試したくないの?」


いろいろな押し問答の結果、タイルノルは試さないことに。


そして、彼を説得して、なんとか、今のPCA(Patient control analgesia、患者さんが、自分でボタンを押して、痛み止めの麻薬を静注することができる機会)のセッティングを少し変えてもらいました。


それでも、不安が残る家族。

私にこう聞いてきました。

「あなたはどう思う?これでいいと思う?この対応にあなたは納得している??」


・・・・・

私はこう答えました。

「とりあえず、これで、様子をみて、もし、効かなければ、また来てもらえる??」(研修医に向かって言った)

そうすると、研修医は、

「えーっと、また呼ばれても、僕はなにもしないから。僕は、週末の当直をしているだけで、あまり大きいことはしたくないから、とりあえず、もし呼んでも僕はこれ以上は何もしないからね。いいね!」

と、いいはなち、部屋を出て行きました。


唖然とする、私、両親。



その研修医を追いかけて、

「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど・・・」

といいかけた私に、その研修医は、

「ちょっと、今の態度なんだよ!なんで、患者の前で、あんなこというんだよ!!患者の前であんなこというなよ!!」

と私に怒ってきました。


「あなたこそ、患者さんの前であの態度はないと思う!あれでは、患者と家族をふあんにするだけ!!」

と、私も負けずに言い返し、

「痛みのコントロール」は、泥沼にはまっていったのでした・・・。


家に帰って、この話をパートナーにしてみました。

「うーん、その対応はいやだけど、でも、彼の立場にしてみると、彼は、かわいそうなことに、病院中の痛み、と、毎日接しているんだよね。

そうなると、もう、ビジネスライクに、冷静に、そして、自分を守りながら、やっていかないとやっていけないんじゃないだろうか。」


と、いう彼の言葉に、「でも、それが、彼が選んだ道でしょう!!!」

といいながらも、少し、納得しました。


こうやって、「死」に向かって、一歩一歩進んでいく過程は、どの職種、どのチームにとっても、つらい、厳しい過程です。


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Author:oriental nurse
子どものがん看護、緩和ケアをモントリオールで追求しているオリエンタルナース(東洋人ナース)です。

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