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トロントで学会




POGO (Pediatric oncology group of ontario) の学会に行かせてもらいました。
参加者はナースが多いのに、内容はかなりドクター中心の内容で、たまにむかっともしましたが、全体的には面白い学会でした。

緩和ケアについて触れている人もいましたが、これに関しては、モントリオールで開かれる国際緩和ケア学会の足元にも及ばず。
そこで出会った日本の緩和ケアのドクターに進められて読んだ本の、Whole person careの煮詰めて煮詰めておいしく煮詰まったスープのような内容にはとても及ばず。緩和ケアをやる人たちには職種を問わずとてもおすすめの本です。日本語訳も出る予定。

興味深かったのは、medulloblastoma(髄芽腫)の最先端治療、遺伝子をターゲットにしてそこをピンポイント攻撃する方法、神経芽細胞腫の免疫療法はメジャーになりつつありますが、がん治療もターゲットを絞っていく時代になってきているようです。

また、東洋医学のほうにも目が開かれてきており、午後の一セッションは東洋医学と西洋医学の合体、日本でいう統合医療の分野でした。特に針治療が注目されているようで、それを臨床で生かしていく試みがここ、トロントでは行われているようです。
でも、この分野はまだまだ時間がかかりそう。これは、西洋医学のほうが東洋医学を過少評価している、というのもありますが、特に今問題になっているのが、がん患者に、東洋医学の技術者が、「あなたのお子さんのがんが治らなかったのは東洋医学一本でやらなかったからだ」というパターンで、西洋医学からまったく患者を隔離し、そして、最後はなくなってしまう、というパターンが多いのだそうです。

最後に、一つ、とても印象に残ったセッションについて。

そのセッションは、ドクター、ナースによるパネルディスカッションで、3人のパネラーが、緩和ケアに治療を切り替えていく導入をどうやっていくのがいいのか、またがん患者の家族、この場合両親に対して、どのように接していくのがいいのか、医療者として、患者の親にはどういう親になってもらえるように、リードしていけばいいのか、また、避けられないこととして起こる、「怒り」を顕著に表してくる親にはどう対処していったらいいのか、また、こういう環境で、極限で働く私たち医療従事者のストレスはどのように対処していけばいいのか、などについて、発表し、会場の場は、「どうやって患者や、その親からもたらされる、理不尽なストレスを回避していくか」のような流れになっていきました。精神科医のパネラーのひとりが、そういう時の上手な回避方法や、どのように自分の感情をコントロールしていくか、などを心理的な面から分析し、説明していました。

そして、最後の質問も終わり、そろそろこのセッションは閉じるか、というときに、以前一緒に働いていた同年代のドクターが手を上げました。彼は、家族の事情で、数年前にここオンタリオ州に移っていったドクターでした。

そして、彼はいいました。

「確かに、労働条件はひどい時がある。研修医なんて一時間しか寝てなくて翌日、仕事をしている時もある。私たちの労働環境は高度のストレスに常に囲まれているし、極限で働いている時もある。でも、私たちの目の前にいるその子の親はたぶん1時間どころか4日間全く寝てないことだってある。その親たちが今体験している現実は、はっきり言って地獄だ。その地獄の中にいる人たちを相手にしている、ということを、私たち医療者は忘れてしまってはいけないんじゃないだろうか?」

会場が一瞬しーんとなりました。

司会が、はっとして、適当にとりつくろってこのセッションはおわりになりました。

が、このドクターの言葉がずーっと心に残り、そして、それを帰ってきて友達に話した時に、涙が止まらなくなりました。

バーンアウトだの、ストレスだの、いろいろと言われていますが、私たちは誰を相手に仕事をしているのか、ということを最近忘れがちなのです。原点に引き戻してもらった学会でした。

 
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Author:oriental nurse
子どものがん看護、緩和ケアをモントリオールで追求しているオリエンタルナース(東洋人ナース)です。

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