緩和ケアを奨励することは、死ぬことを強制すること?

日本の小児病棟でずいぶん前にナースをしていたとき、緩和ケアという概念がまだない時代で、医療従事者的には、楽といえば楽でした。最後の最後は、呼吸器につながれるので、意識もなく、とにかく、できるだけの積極的な治療をすればいい、という時代でした。

カナダにきて、緩和医療、ということがあることを初めて知りました。
それから、数年間、この緩和ケアという考え方に頭をシフトし、まず、自分自身が死をこわかがらなくなるまでかなり時間がかかりました。だいたい、「死ぬという言葉」を会話でダイレクトに言えるようになったのがここ数年です。

「死んだらどうなるの?」という質問に、自信をもって、答えられるようになったのもここ数年です。

答えは、それぞれあると思うので、書きませんが、

人種のモザイクモントリオールでは、イスラム教にも、キリスト教にも、仏教にも、そして、私の大和魂にも、反しない答えを見つけるのにだいぶ試行錯誤し、いろいろな経験をしました。で、思ったことは、こうして試行錯誤したってことが大事だったんだ、ということでした。

そして、そんなある日。もう、3年は緩和ケアをしているある子のお父さんに、言われました。彼は、イスラム教徒です。
「なんだか、毎日毎日、この子が生きるのはもうあきらめろ、死なせろ死なせろ、って強制されているような気がする。私は、もし、少しでも可能性があって、それをやらないで、この子を死なせてしまったら、一生罪の意識を背負って生きていかなければいけない」

この子のお父さんは、診断がついてからの5年間、常にメインでこの子の面倒を見てきました。ほかにも兄弟姉妹がいるため、お母さんはほとんど、病院にこれず、通院も入院も、フルタイムで働くこのお父さんがメインでしています。


緩和ケアは、痛みを取り除き、生活の質を上げ、楽しく最後の日々を過ごせるように、というのがその目標です。
そして、その主役は患者さんです。
でも、小児の場合、主役が患者さんで、そこにとても大事な脇役のご両親がいます。

また、答えの見えない壁にぶつかってしまいました。








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子どものがん看護、緩和ケアをモントリオールで追求しているオリエンタルナース(東洋人ナース)です。

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