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腫瘍崩壊症候群


腫瘍崩壊症候群、英語では、Tumor Lysis Syndrom.

白血病や、リンフォーマ、バーキット症候群などの、化学療法の1クール目を行うときに起こる、怖い症候群。

化学療法を開始することによって、沢山の腫瘍細胞が壊される。

体は、壊された細胞をなんとかきれいに掃除してシステムから追い出さないといけない。

細胞が壊されると、

カリウム、

フォスフェイト(リン酸)

といった、細胞内に保たれている電解質が細胞外にでるため、血中のそれらの濃度があがり、

高い値になったフォスフェイトの影響を受けて、カルシウムがフォスフィイトにくっつきたがり、カルシウムフォスフェイト、になりたがるため、カルシウムの値は下がり、

それに加えて、細胞が壊れることによって排出される尿酸(Uric Acid)が一気に増加。

これを排出するのは、腎臓の役目。あまりにもあがりすぎた尿酸を始末しきれずに、酸性になりすぎた腎臓では、

結晶化を起こしかねず、また、高い値になったフォスフェイトも、酸性の物質のため、これを助長。


と、腎臓にとっては大変なことになるのです。


これを防ぐために、

大量に輸液をしてそれらの悪玉物質の排出をはかり、

電解質、尿酸値、腎機能を、1日に数回チェックし、調節し、

アロプリノール、という尿酸の解毒化を助ける薬を使い、

アロプリノールでは対処しきれない場合は、rasbricaseという静脈投与ができる薬をつかい、

コントロールしていくわけです。

一昔前は、この大量輸液に炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えて、アルカリ化をはかり、腎臓を助ける、

というのがメジャーだったのですが、最近の研究で、どうやら、それはあまり助けにはなっていないようだ・・

ということがわかり、最近はあまり行われなくなりました。


この段階で、怖いのが、大量輸液の結果として起こってくる、Third spacing とよばれる、細胞外に、水分が出てしまうことによって起こる、浮腫。

とくに、これは、毛細血管の多い、肺におこりやすく、呼吸状態に影響することがあるので、

水分の出納のバランスを細かくチェックし、利尿剤を上手につかって行く必要があります。


私は、一度、この過程がうまく働かず、透析になってしまったケースをもったことがあり、

腫瘍崩壊症候群の怖さを思い知らされました。







IL-2 & Ch14,18 Neuroblastoma(神経芽細胞腫)

Nueroblastoma(神経芽細胞腫)は、小児癌の中でもメジャーな癌です。

診断の際に、その進行度にあわせて、ステージがきめられます。

ステージがあがるほど、危険率が高い。


そして、ハイリスクのNeuroblastomaの治療として、2000年代に入って、始められてきたのが、

IL-2(Intreleukin-2:人の免疫にかかわるもののひとつ。それを人工的に作ったもの)と

CH14,18(Chimeric 14,18:Antibody,抗体)それに、GM-CSF(Glanulocytes macrophage colony stimulation factor)

を組み合わせた治療で、それが、プロトコールに加えられるようになりました。


今、その治療が進行中。

私たちのフロアでは2回目。

私は初経験。


オタワの子ども病院からこっちに最近移ってきた同僚がいうには、オタワは、ここ半年の間に、6ケースくらい行ったそう。


まず最初は、GM-CSFを大量投与し、macrophage と neutrophils(好中球)の値を人工的に上げて、

そこに、CH14,CH18を投与します。

CH14,18がん細胞と結びつき、簡単に言うと、免疫システムたちに、「君たちの敵はここですよーー」と、

教えます。そこを、免疫システムが、アタック!!!!

それが、第一のサイクル。


そして、第二のサイクルが、

今度は、IL-2を投与して、T細胞系の免疫力を上げて、がん細胞をアタック。


そして第三のサイクルは、CH14,18とIL-2の両方を一度に投与して、CH14,18にがん細胞をフラグアップさせて、

IL-2でアタックする、というコンビネーション。


第一、第二のサイクルは、クリスマス、お正月、に行われ、心配された副作用も少なく、無事に済みました。


そして、先日から始まった、第三のサイクル。

これが、そう簡単にはいきません。また、このコンビネーションのサイクルが、この治療のなかで一番大変、

といわれているのです。というのも、CH14,18の最大の副作用である「痛み」と、IL-2のアレルギー反応(Hypersensitivity) の、

コンビネーションの副作用。

これをコントロールできるか、できないか、で、この治療をのりきれるか、のりきれないか、が、決まるのです。


APS(Acute pain service)と一緒に、モルフィン(モルフィネ)の継続投与、プラス、Bolus投与と一緒に、

神経的な疼痛をコントロールする薬を使い、疼痛コントロールをし、

抗ヒスタミン剤と、アセタミノフェンを使いながら、アレルギー反応(Hypersensitivity reaction)

をコントロールしていきますが、

そうすると、この薬たちの副作用ともやりあわなければいけません。


モルフィンの副作用から、排尿困難になり、

モルフィン、抗ヒスタミン剤の投与から、低血圧になり、

また、低血圧、というのは、アナフィラクティックショック(Hypersensitivity reaction のひとつ。)の

のひとつの症状でもあり、危険度の高い症状のひとつ。そのため、低血圧が起こってくると、それをなんとか、

しなくてはならなくなる・・・という、Vicious Cycle(悪循環)が生まれてくるのです。


この副作用たちとやりあうために、今、悪戦苦闘中。

どうか、うまくいきますように・・・・。
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プロフィール

oriental nurse

Author:oriental nurse
子どものがん看護、緩和ケアをモントリオールで追求しているオリエンタルナース(東洋人ナース)です。

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